1、実験的自己免疫性心筋炎におけるTh1/Th2/Th17バランス、Th17の制御による心筋炎の発症抑制について検討した。 自己骨髄間葉幹細胞とアロ胎盤膜由来間葉幹細胞は免疫調節作用があり実験的自己免疫性心筋炎における心筋障害を減弱させることが報告されている。間葉幹細胞による免疫調節のメカニズムはよくわかっていない。実験的自己免疫性心筋炎はTh1 T細胞が発症誘導の主役を担っており、また、Th17 T細胞が炎症の増幅・遷延に関わっていると考えられているため、間葉幹細胞がTh1、Th17に及ぼす影響を検討した。間葉幹細胞の静注により実験的自己免疫性心筋炎を発症したラットの心機能低下を軽減できた。心筋炎病変ではマクロファージの浸潤が抑制された。末梢血CD4陽性T細胞中のTh1 T細胞分画は間葉幹細胞治療により縮小し、Th17 T細胞分画も縮小していた。また、病変部への浸潤細胞の解析ではTh17 T細胞の頻度が減少していた。次にヒトリンパ球に対する間葉幹細胞の影響を培養系で検討した。ヒトCD4陽性T細胞とヒト胎盤膜由来間葉幹細胞を共培養すると、Th1 T細胞とTh17 T細胞の分化と増殖が抑制された。この結果から間葉幹細胞はTh1 T細胞とTh17 T細胞を抑制することにより免疫調節作用を発揮することが示唆され、様々な自己免疫疾患、炎症性疾患への応用の可能性が示せた。 2、実験的自己免疫性心筋炎の発症機序、心筋炎から拡張型心筋症への進展のメカニズムを動物モデルを用いて検討した。 心筋炎から拡張型心筋症に進展する過程で AMP-activated protein kinase、ACE-2/angiotensin 1-7系、endothelin-1、が関わっていることを薬理学的手法により示し、論文に報告した。
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