(1)トランスファー心筋炎モデル心筋組織を用いたGFP陽性心筋炎惹起性T細胞株(GFP-CTL)の動態解析 樹状細胞の抗原提示先であるT細胞の体内動態の観察から始めた。樹立したGFP-CTLをnaiveラットの尾静脈から移注すると、各種リンパ臓器をリクルートした後、約3日かけて心臓組織中に浸潤を来す。このモデルは従来の心筋炎モデルと病理表現型に差異はなく、また、GFP-CTLは心筋炎病巣に直接浸潤・集簇するが、経過とともに同細胞は減少する一方で、レシピエント由来と思われるCD4陽性Tリンパ球が心筋炎症の主体となり、心筋での局所炎症を持続させていく。炎症の慢性化機序を探るうえで、極めて重要な現象を捉えた。 (2)GFP非ラベル化心筋炎惹起性T細胞株(NL-CTL)のGFPトランスジェニック(GFP-Tg)ラットへのトランスファーによる心筋樹細胞の動態解析 GFP非ラベル化T細胞(NL-CTL)をGFP-Tgラットに移入し、心筋炎病巣部並びに周辺部に、抗CD4抗体による免疫染色を施すことで、GFP-Tgラットの心筋内の心臓樹状細胞の細胞応答や細胞動態を検索しようと試みた。しかし、GFP-Tgの心筋組織そのものにGFP発現が起こり、両細胞の分離が困難であることが判明した。今後は、GFP-TgラットからGFPラベル化樹状細胞を単離し、継代培養のうえ細胞株化することにより動態解析を進める必要がある。
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