研究課題/領域番号 |
22590812
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
和泉 徹 北里大学, 医学部, 教授 (80143775)
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キーワード | 樹状細胞 / 心筋炎 / 自己免疫 / T細胞 / GFP |
研究概要 |
研究の目的は、外来抗原感染に引き続く獲得免疫から自己免疫に至る一連の免疫過程における心臓樹状細胞(dendritic cell:DC)の役割とその制御機構を明らかとすることである。一般的にDCはその一連の賦活過程において抗原特異的T細胞からの修飾が必須である。先ず心筋ミオシン上の炎症惹起性エピトープ(CM2)に特異的なT細胞株(CMT)を作成し、その移入に伴うDCの活性動態を解析するという実験的アプローチを選択した。(1)T細胞サブセットの変化と慢性心筋炎:GFPラベル化CMTは直接心筋組織に浸潤し、心筋炎を形成した。興味深いことにGFPラベル化CMTの消退に引き続き、心筋組織内にCD4陽性細胞が見出された。GFPラベル化CMTのサブセットは不明であったが、細胞培養におけるサイトカイン産生特性能を測定した結果、Th1T細胞であることが判明した。他の動物モデルを用いた検討結果を考慮すると、新たに出現したCD4陽性細胞はTh17T細胞であると推量される。(2)DCの細胞動態:GFP非ラベル化CMTをGFP過剰発現ラットに移入した心筋炎モデルからGFP陽性DCの検出を試みた。しかし、心筋組織自体にもGFP発現が認められ、DC株の分離・独立が困難であった。現在、GFPキメララットを用いた別方法の検討を急いでいる。(3)DCの機能解析(DC細胞株を用いた検討):CMT移入後の心筋組織よりDCを単離し、継代培養を介して細胞株の作成を試みた。しかし、DCの回収率は極めて低く、未だ成功を見ていない。現在、ラット樹状細胞肉腫モデルの応用も検討している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
(1)樹状細胞の細胞動態:GFP過剰発現ラットの特性能の検討を進めている。 (2)樹状細胞株の作成:極めて低い細胞単離成功率のため苦労している。樹状細胞腫を応用しても何とか成功させたい。
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今後の研究の推進方策 |
(1)樹状細胞の細胞動態についてGFPキメララットを用いた検索を行う。 (2)樹状細胞の機能解析は代替細胞株の応用も検討している。
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