心筋細胞の発生は、発生初期の胚に存在する心臓発生領域において多段階的で複雑な遺伝子発現に基づいて分化が進行することが知られている。周囲の内/外胚葉から分泌される細胞増殖因子の刺激により間葉系細胞において転写因子活性を生じる。しかし幹細胞が心臓中胚葉発生プロセスに入る分子機構は不明である。 我々は心臓中胚葉分化を選択的に誘導し決定する機構を「心臓中胚葉発生の初期プライミング因子」と名づけて探索を開始。合計6個の初期プライミング因子の単離同定に成功した。現在Crossveinless-2(Cv2)に注目し解析を進めている。マウス胚を用いてwhole mount in situ hybridization法によりCv2と他の分化関連因子の発現パターンとの比較を行っている。Cv2とNogginのin vivoでの発生時期における発現局在様式に関しては、Cv2のみが発生初期過程の心臓発生領域に発現した。mRNAレベルでの検討結果と同様、Nogginの発現は心臓発生領域には発現を得られなかった。Cv2は発生初期過程の心臓発生領域に発現し、幹細胞の心臓中胚葉誘導と心筋分化を促進するメインプレイヤーであることが示された。また発現局在を明らかにするため、Cv2-Blue miceを用いた胚発生早期におけるCv2の発現場所を探索するモデルを開発した。このモデルを用いて初期心臓にCV2が発現する事を発見した。現在詳細な発現経過の解析とともに、発現細胞種類の同定を行っている。
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