研究課題/領域番号 |
22590817
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研究機関 | 独立行政法人国立循環器病研究センター |
研究代表者 |
山崎 悟 独立行政法人国立循環器病研究センター, 細胞生物学部, 室長 (70348796)
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研究分担者 |
北風 政史 独立行政法人国立循環器病研究センター, 臨床研究部, 部長 (20294069)
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キーワード | 遺伝子 / 核酸 / ゲノム / シグナル伝達 / 循環器・高血圧 |
研究概要 |
本年度は、1.Zebrafishを用いたin vivoエンハンサーアッセイ系の確立,2.DNAカラムを用いたエンハンサー結合タンパク質精製系の確立を行った。 ゼブラフィッシュゲノム配列よりHB-EGF領域をカバーしているBACのin silicoクローニングをまず行った。続いて、Red/ETというλファージ由来の組み換え酵素を利用し、発現の検出を容易にするためにHB-EGFのcoding領域をGFPに変換したBACを大腸菌内で作成することを試みたが、BACの配列に不安定化が起こりpositiveなクローンを得るのに時間がかかった。それゆえ。ゲノム側面にto12エレメントを挿入するステップにも意外に時間を取られ、ゼブラフィッシュ卵への導入は開始できたものの、まだ発現部位の特定には至っていない。 上記のようなこともあったので、本年度はDNAカラム精製系の方を並行して進めることにした。 実際には、5'biotin付加primerを用いてGATA4領域の配列を合成し(GATA4を系の構築に用いたのは,心血管系に重要な転写因子である為である)streptavidin beadsに直接結合させることにより、pull-down用のbeadsを作成した。これを利用することにより、まず組織より各タンパク質を150μg精製し、続いて陽イオン交換カラムによる分離を行い、さらに上記の方法で作成したbeadsによりpull-downを行った後に溶出を行い、最終的にSDS-PAGEで確認を行った。今回は抽出bufferの塩濃度を0.15Mおよび0.75MのNAC1による核可溶性画分への影響を調べた。その結果、細胞質画分には、どちらの濃度でもGATA4が溶出していないことが確認された。また、可溶性、不溶性それぞれの画分については、0.75Mの方がきれいに精製されており、この系がworkされていることが確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
昨年度にゼブラフィッシュの系はうまく構築できたが、実際にHB-EGFの研究にそれを応用する際に、BACクローンの不安定性という問題にぶつかり,当初よりも時間がかかってしまった。ただ、並行して実施したDNAカラム精製系の方については、パイロット系ではうまく構築されたと思われる。
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今後の研究の推進方策 |
本年は、in vivo(ゼブラフィッシュ)でエンハンサー領域を導入した状態で、カテコラミン、あるいは抗ガン剤であるドキソルビシンなどで心不全を惹起する状態を作り出すことにより、鋭敏に発現上昇を検出し、候補領域を同定していく予定である。 また、上記の計画と連動するが、昨年構築した系を用いてHB-EGFの心不全応答エレメント結合タンパク質の同定をめざす。
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