研究概要 |
抗糖尿病薬やアンジオテンシン受容体捨抗薬の一部はAMPキナーゼ(AMPK)を活性化し、抗動脈硬化作用を示すと考えられている。我々はミネラロコルチコイド受容体(MR)活性化により生じる血管炎症・血管障害をそれらの薬剤によるAMPK活性化により抑制できると仮説を立て、培養細胞を使ったin vitroの検討でその分子機序の一部を平成22年度の本研究で明らかにした。平成23年の日本高血圧学会総会においてその成績の一部を発表した。平成23年度に生体内、特に血管特異的にAMPKの作用を検討するための遺伝子改変マウスを開発したが、交配による繁殖に遅れがあり、当該年度におけるin vivoの研究においては、野生型における血管障害の検討から始めた。培養細胞において検討してきたMAPキナーゼ系、NF-κB系、eNOS-NO系を中心にin vivoでも検討を行なった。野生型マウスにおいてアルドステロンおよび対照のvehicleを浸透圧ポンプで4週間投与し高食塩食で飼育し、その後大動脈を単離して生化学的、免疫組織学的に解析した。Western Blotの結果、ERKに関してはアルドステロン投与で若干のリン酸化更新があったが統計的な優位性はえられなかった。NF-κB系ではIκBのリン酸化とその上流のIKKαβのリン酸化が亢進していた。またeNOSのリン酸化が有意に減少していたがこれは以前の我々の報告と合致するものであった。また同サンプルからRNAを抽出しNAD(P)H oxidase構成サブユニット(NOX1,NOX2,NOX4,p22phox,p40phox,p47phox,p67phox)の発現量をrealtime PCR法で評価した。p47phoxは有意に増加したが、他では有意な増加を確認できなかった。
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