研究概要 |
我々は、次のような仮説に基づき、研究を進めている。 (1)Mrf-2/ARID5Bは、ストレスに応答して発現し、ホメオスターシスを維持する役割をはたす。 (2)Mrf-2/ARID5Bは、核内受容体転写制御コンプレックスの一員として転写調節に寄与する。 1,ARID5B遺伝子によるアディポネクチン発現の制御 レトロウイルスを用い3T3-L1細胞でARID5Bαを過剰発現させると、アディポネクチンの発現が数倍に上昇した。次に、アディポネクチンプロモーターの転写調節をレポーターアッセイで解析し、PPRE (peroxisome proliferator responsive element)がARID5Bαが発現制御をする上で、重要であることが示された。 ARID5Bと相互作用する蛋白の探索を行った。第一に、抗ARID5B抗体によりCo-IP(complex immunoprecipitation)を行い、相互作用する蛋白を抽出し、mass spectrometryにより、その蛋白を同定しようと考え、現在進行中である。第二に、PPREの制御に関する転写因子群との結合をmammalian two-hybrid assayで検討した。three-hybrid assayでARID5BαはSMRTを介してPPARγ2と結合していることを示唆する結果が得られ、ARID5Bαはリガンド非存在下では抑制因子群のひとつに含まれると考えられた。 2,マトリゲルを用いた血管新生モデルや、アンジオテンシンII負荷による心肥大モデルなどでも、ARID5Bによるストレス応答システムへの関与が認められ、順次解析中である。
|