研究課題/領域番号 |
22590831
|
研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
渡部 琢也 東京薬科大学, 生命科学部, 教授 (30297014)
|
研究分担者 |
平野 勉 昭和大学, 医学部, 教授 (00167610)
木庭 新治 昭和大学, 医学部, 講師 (20276546)
長嶋 理晴 昭和大学, 医学部, 助教 (20468606)
|
キーワード | インクレチン / 動脈硬化 / マクロファージ / 泡沫化 / ACAT-1 / CD36 |
研究概要 |
【目的】小腸から分泌されるペプチドホルモンであるインクレチンにはGLP-1とGIPの2種類ある。各々の活性型であるGLP-1(7-36)またはGIP(1-42)を動脈硬化モデルマウス(ApoE欠損マウス)に持続投与し、両ホルモンの動脈硬化の進展に対する作用を検討した。 【方法】17週齢の雄性ApoE欠損マウスを10匹づつ3群に分け、高脂肪食摂取下で4週間、GLP-1(7-36)、GIP(1-42)、生食を浸透圧ポンプを用い持続皮下投与した。21週齢時に各群の心臓および大動脈を採取し、大動脈弁輪部をOil Red O染色またはMOMA-2免疫染色しプラークサイズやマクロファージの浸潤度を評価し、また大動脈全体をOil Red O染色し動脈硬化病変の総面積を評価した。また腹腔マクロファージを採取後、酸化LDLによる泡沫化を評価した。 【結果】大動脈全体での動脈硬化病変面積は、GLP-1(7-36)またはGIP(1-42)投与により対照に比べ、71%、66%分減少した。大動脈弁輪部のプラークサイズおよびマクロファージの浸潤度は、GLP-1(7-36)投与により31%、24%分減少し、GIP(1-42)投与により33%、21%分減少した。マクロファージの泡沫化はGLP-1(7-36)またはGIP(1-42)投与により対照に比べ43%、29%分抑制された。その分子機構として、泡沫化に不可欠なCD36およびacylCoA : cholesterol acyltransferase-1(ACAT-1)の発現が、GLP-1(7-36)およびGIP(1-42)により有意に抑制されていた。 【結語】活性型のGLP-1およびGIPは、マクロファージでのCD36およびACAT-1の発現抑制を介し泡沫化を抑制することにより動脈硬化の進展を顕著に抑制する可能性が示唆された。 【学会発表】2010年に米国心臓病学会(AHA)、米国糖尿病学会(ADA)、ヨーロッパ糖尿病学会(EASD)、動脈硬化若手研究会等で発表。
|