1.硬化変性弁・動脈硬化病変におけるペリオスチンの発現解析まず、50週齢の高齢apoE遺伝子欠損マウスと野生型マウスの大動脈弁および大動脈におけるペリオスチンの発現領域および発現量を、ペリオスチン抗体による免疫染色、Western blotを用いて比較解析したところ、高齢apoE遺伝子欠損マウスの大動脈弁、大動脈ともに野生型のそれと比較して、発現領域、発現量は約4倍、5倍増加していた。また、ヒト石灰化大動脈弁(弁膜症手術例))、ヒト大動脈硬化例(大動脈瘤手術例)においても、正常例と比較してペリオスチンの発現領域および発現量は有意に増加していた。興味深いことに、ペリオスチン発現細胞の2重免疫蛍光染色を行ったところ、vWF、collagen Iとは一致しなかったが、α-smooth muscle actin、vimentin、活性化単球マーカーCD14との一致を認め、ペリオスチンが組織内に浸潤した筋線維芽細胞や炎症性細胞から分泌されている可能性が示唆された。現在、マウスの末梢血・骨髄由来CD14陽性細胞およびヒト末梢血由来CD14陽性細胞をflow cytometryで回収後、各種刺激によるペリオスチンの発現変化を確認中である。 2.ペリオスチンのin vivo機能解析ペリオスチン/apoE二重遺伝子欠損マウスを作製後、45週齢の野生型マウス、apoE遺伝子欠損マウス、およびペリオスチン/apoE二重遺伝子欠損マウスを用いて、大動脈弁および大動脈の硬化変性・石灰化を心エコーで観察した。大動脈弁、大動脈ともに、ペリオスチン/apoE二重遺伝子欠損マウスにおいて大動脈弁、大動脈壁の肥厚・石灰化が軽減する傾向を認めたため、現在免疫染色にて確認中である。
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