研究課題/領域番号 |
22590834
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
坂本 透 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (50282356)
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研究分担者 |
檜澤 伸之 筑波大学, 医学医療系, 教授 (00301896)
野口 恵美子 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (40344882)
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キーワード | 前向き研究 / コホート / 肺機能検査 / 閉塞性肺疾患 / 遺伝子多型 / ゲノムワイド関連解析 |
研究概要 |
人間ドック受診者から本研究参加者を1,505名募り、性別、年齢、体重、喫煙歴、既往歴、総IgE値、抗原特異的IgE、肺機能検査などのデータを抽出した。さらに全血よりゲノムDNAを抽出し、968人に対して約60万ヶ所の遺伝子多型についてゲノムワイドにタイピングを行った。 まず横断的解析としてゲノムワイド関連解析(GWAS)を行った。その結果、肺活量や1秒量、1秒率などに対してGWASレベルのp値(p<5x10^<-8>)を満たす遺伝子多型は認められなかった。しかしながらp<10^<-5>を満たす遺伝子多型は、肺活量に対して8個、1秒量に対して18個、1秒率に対して6個確認された。これらの遺伝子多型の周辺の一塩基多型(SNP)についてMACHソフトウェアにより肺機能との関連を推定補完し、GWASレベルのp値を満たすSNPを検索している。一方、候補遺伝子関連解析では、TSLP遺伝子上の2個の機能的SNP(rs3806933、rs2289276)が%1秒量と1秒率に関連し、さらにNrf2遺伝子イントロン上のSNP(rs6726395)が経年的な1秒量減少に関連していることが明らかになった。これらのSNPについては他の集団を用いて同様な関連が再現されるかを確認する必要がある。 次に、"前向き研究"として全参加者に対して最近1年間の呼吸器症状や喫煙状況、アレルギー症状、新たな疾患発症などについてのアンケート調査を施行した。アンケート返信率は約60%であった。アンケート返信者の9割が毎年同じ施設で人間ドックを受診している。この前向き調査により新たに喘息やCOPDを発症した者を数名検出することができた。さらに毎年人間ドックを受診している者については経年的な肺機能の推移を調べることができる。上記のSNPと疾患発症や経年的肺機能変化量との関連を重回帰分析により解析する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
健診受診者1,505名のうち968名に対してゲノムワイドの遺伝子多型タイピングを施行することができたことは非常に大きな進展であった。これにより疾患発症や肺機能に関連する多型について網羅的に解析することが可能となった。
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今後の研究の推進方策 |
まず横断的解析を更に進展させるために、肺機能検査に対するGWASにてp<10^<-5>を満たした多型を抽出する。その多型近傍のSNPについて肺機能との関連を推定補完し、GWASレベルのp値を満たすSNPを検索する。また、過去に報告された肺機能と関連するSNPについて、我々の集団においても関連性が再現されるかを確認する。 縦断的前向き解析のためにアンケート調査を施行するとともに、人間ドックを繰り返し受診している参加者については新年度の健診結果を回収する。これらの調査により新たな疾患発症や肺機能の経年変化を解析し、関連するSNPを検索する。
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