研究課題/領域番号 |
22590835
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
山本 寛 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (10361487)
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研究分担者 |
長瀬 隆英 東京大学, 医学部附属病院, 教授 (40208004)
山口 泰弘 東京大学, 医学部附属病院, 講師 (60376473)
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キーワード | 閉塞性肺疾患 / アドレノメデュリン |
研究概要 |
高齢マウスとして22ヶ月齢の酬遺伝子改変マウス(Old AM-KO)およびその同腹子、コントロールとして12週齢のAM遺伝子改変マウス(Young AM-KO)およびその同腹子を準備し、それぞれにおける肺機能、組織学的変化を検討した。まず肺機能については、Old miceにおける残気量(RV),残気率(RV/TLC)の有意な増加が認められた。一方、組織学的な検討の結果、平均肺胞間距離(Lm)がOld miceにおいて有意に長く、肺胞面積や破壊指数(DI)については有意な差を認めなかった。いずれもAM遺伝子改変の有無とは関連を見出せなかった。以上の結果から、高齢化により、肺の弾性収縮力が低下してエアートラッピングを生じさせる結果、残気量の増加やLmの増加を来たしているが、肺胞の破壊という点では高齢化の影響は少ないものと判断された。つまり、高齢化のみでは肺は形態学的に肺気腫の形態を示さず、むしろ末梢の気腔のみが拡大した「老人肺」の所見を示すことが示された。同様のことはKlothマウスを用いたわれわれの検討においてもすでに裏付けられている(Ishii M, H.Yamamoto, et al.J Gerontol A Biol Sci Med Sci.2008;63:1289-1298)。以上から、この高齢マウスに対する慢性喫煙負荷を行うことで老人肺ではなく肺気腫が形成されること、さらにその肺気腫形成にadrenomedullinが抑制的に働くとすればきわめて画期的であり、「老いても肺気腫にはなりにくい」治療法の開発につながる独創的、萌芽的な研究結果を提示しうるものと考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在、上記の方法でさらに検討中をすすめているところであるが、肺組織の形態解析は順調に進み、ほぼ評価を完了した。
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今後の研究の推進方策 |
採取肺の一部については凍結検体としており、今後、遺伝子の発現や蛋白の発現を検討するために、免疫染色やRT-PCR、ウエスタンブロットなどに供し、これらを比較検討する予定である(山本、山口が担当)。また気管支肺胞洗浄液中の遊離細胞100000個に対する活性酸素産生量を測定して比較検討する。残余の洗浄液はElastase activity、glutathione content、oxidized glutathione(GSSG)などの測定に供するまで-80℃に保存する。採血検体は血清分離を行った上で測定に供するまで-80℃に保存しているので、今後各種メディエーターの測定などに供する。
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