レプチン受容体と肺気腫病変の関連について、研究計画に基づき、臨床研究と細胞培養を用いた研究を遂行した。平成22年度は、主に手技の確立、確認とサンプル収集を行った。 1.ヒト臨床検体を用いた臨床研究 京都大学の肺組織バンクより得た切除肺を用いて、レーザーマイクロダイセクション法にて肺胞上皮細胞、気道上皮細胞、血管よりそれぞれRNAを抽出することを開始し、PCR法にて定量可能であることが確認できた。また免疫染色法やウエスタンブロッティング法を用いてアポトーシスに関連する蛋白の検出方法を確立した。今後、サンプル数を増やすことは、研究結果の精度を上げるためにも大変重要であると考えられ、これまでに進めてきた京都大学でのサンプル収集に合わせて、滋賀医科大学においても血液サンプルや臨床データを収集できるように臨床研究を立ち上げ、倫理委員会の承認が得られた。また、気腫性病変の進展と骨粗鬆症との関連については、CT画像を用いた検討を中心とすることとし、長期間フォローできる体制も整備した。 2.培養細胞を用いた研究 正常ヒト気道上皮細胞の培養系を用いて、レプチン受容体の発現と喫煙曝露によるアポトーシスの関連について遺伝子や蛋白の発現の変化の検討を開始した。また、肺胞上皮細胞の培養を確立した。 以上、臨床研究、基礎研究において、手技が確立したことは、23年度以降に、サンプル数を増やした検討や、作用機序の解明を目的とした基礎研究に繋げることができたと考えられる。
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