レプチン受容体と肺気腫病変の関連について、平成24年度は臨床検体の収集と組織での遺伝子発現について引き続き研究を行った。 京都大学の肺組織バンクより得た切除肺よりレーザーマイクロダイセクション法にて肺胞上皮細胞、気道上皮細胞、血管各々よりのRNA抽出を終了した。平成24年度は、レプチンおよびレプチン受容体などの遺伝子発現の定量を行った。さらには、気腫性病変への血管病変の関与を検討するために、血管に関連する遺伝子(vascular endothelial growth factor(VEGF)やVEGF受容体、endothelial nitric oxide synthase)発現についても検討を行った。これら遺伝子の発現の結果とCT画像解析結果を比較検討し、レプチン受容体の気腫性病変への関与と血管病変の関与の解明に努めた。 滋賀医科大学における、血液サンプルや臨床データの収集は昨年度より継続し、約150名のデータ収集が終了した。引き続き、新たなデータの収集を行いながら、一部については経年データの収集も開始している。これらのCT画像解は3D解析を行う事が可能となり、気道壁も測定できることから、気腫病変と炎症との関連を検討するため、血清中の炎症性マーカーやレプチンをELISA法で測定し、炎症と気道壁および気腫病変との関連を検討中である。また、骨粗鬆症についても、胸部CT画像を用いた方法が確立され、気腫病変と体格および全身炎症について検討を進めている。 アメリカ呼吸器学会などへの参加は、意見を交換し、方法論等について助言を受けることができ有意義であった。 以上、平成24年度は、最終年度であり臨床データの解析を中心に進め、気腫病変と体格との関連について検討を行った。今後解析結果をまとめる予定である。
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