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2010 年度 実績報告書

気道構成細胞の表現型変化に基づいた喘息分子薬理療法

研究課題

研究課題/領域番号 22590846
研究機関近畿大学

研究代表者

久米 裕昭  近畿大学, 医学部, 准教授 (50303631)

キーワード気管支喘息 / 好酸球 / 気道過敏性亢進 / サイトカイン / サリドマイド / 気道平滑筋 / S1P / Rho-kinase
研究概要

卵白アルブミンで感作したマウスを麻酔下にボディーボックス内に固定した後、人工呼吸器で強制換気し、気道抵抗を測定した。サリドマイドは抗炎症作用を有することが判明し、多発性骨髄腫、慢性関節リウマチの治療薬としてその可能性が検討されている。サリドマイドを前投与すると、抗原曝露後のメサコリンによる気道抵抗の上昇(気道過敏性の亢進)は有意に抑制された。抗原曝露後に気管支肺胞洗浄液中に著明に増加したサイトカイン(IL-4, IL-5, IL-13, TNF-α)はサリドマイドの前処置により用量依存性に抑制された。さらに、肺の組織学的検討では、抗原曝露で生じた杯細胞過形成、好酸球の気道周囲への浸潤はサリドマイド投与により有意に抑制された。これらの結果より、サリドマイドは気管支喘息の基本的な病態に関与する気道炎症、および気道過敏性亢進の改善に有用である。
卵白アルブミンで曝露した後に気管を切除し、気管平滑筋の切片を作製した。Fura-2で処理した後に浴槽内に懸垂し、等尺性張力とF_<340>/F_<380>(細胞内Ca^<2+>濃度の指標)を同時に記録した。アレルギー反応により肥満細胞から放出されるスフィンゴシン1リン酸(S1P)は気管支喘息のメディエーターとして作用する可能性が示されている。切片をS1Pに暴露した後、イソプレナリン(β_2アドレナリン受容体刺激薬)の弛緩効果はF_<340>/F_<380>の値を変化させることなく著明に減弱した(Ca^<2+>感受性亢進)。Rho-kinase阻害薬であるY-27632の存在下では、S1P曝露後のβ_2アドレナリン受容体刺激薬に対する耐性化は有意に抑制された。RhoA(small G protein)、そしてその標的分子であるRho-kinaseを介したCa^<2+>感受性が重要な役割を果たしている。RhoA/Rho-kinase系は気管支喘息治療の標的蛋白であると推察される。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (3件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] Thalidomide attenuates airway hyperresponsiveness and eosinophilic inflammation in a murine model of allergic asthma.2010

    • 著者名/発表者名
      Asano T, et al.
    • 雑誌名

      Biol Pharm Bull

      巻: 33 ページ: 1028-1032

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 慢性閉塞性肺疾患の肺機能改善における短時間作用性β_2刺激薬の有効性-固有活性に基づいた効果の検討2010

    • 著者名/発表者名
      久米裕昭, 他
    • 雑誌名

      アレルギー・免疫

      巻: 17 ページ: 1230-1238

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 慢性閉塞性肺疾患に潜伏する好酸球性気道炎症に対する制御と吸入ステロイド薬/長時間作用性β_2刺激薬配合剤の有用性-あらたな臨床病型の可能性2010

    • 著者名/発表者名
      久米裕昭, 他
    • 雑誌名

      アレルギー・免疫

      巻: 17 ページ: 2056-2065

    • 査読あり
  • [学会発表] 吸入ステロイド薬に対する反応-高齢者喘息とCOPDの類似点・相違点2010

    • 著者名/発表者名
      久米裕昭
    • 学会等名
      第60回日本アレルギー学会秋季学術大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2010-11-27
  • [学会発表] 高齢者喘息-喘息を取り巻く最近の話題2010

    • 著者名/発表者名
      久米裕昭
    • 学会等名
      第60回日本アレルギー学会秋季学術大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2010-11-26
  • [学会発表] COPD治療の向上に求められるβ_2刺激薬の薬理学的特性2010

    • 著者名/発表者名
      久米裕昭
    • 学会等名
      第50回日本呼吸器学会学術講演会
    • 発表場所
      京都市
    • 年月日
      2010-04-24
  • [図書] β_2刺激薬、"アレルギー疾患イラストレイテッド"、永倉俊和、他、編2010

    • 著者名/発表者名
      久米裕昭, 他
    • 総ページ数
      301
    • 出版者
      メディカルレビュー社
  • [図書] 気管支拡張薬、"総合アレルギー学"福田健編2010

    • 著者名/発表者名
      久米裕昭、東田有智
    • 総ページ数
      748
    • 出版者
      南山堂

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公開日: 2012-07-19  

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