研究課題/領域番号 |
22590849
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
田邉 信宏 千葉大学, 大学院・医学研究院, 准教授 (40292700)
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研究分担者 |
坂尾 誠一郎 千葉大学, 医学部附属病院, 助教 (80431740)
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キーワード | 肺高血圧症 / 遺伝薬理学 / オーダーメード医療 / 右心機能 / 慢性血栓塞栓性肺高 / 肺動脈性肺高血圧 |
研究概要 |
本研究の目的は、肺動脈性肺高血圧症(PAH)や慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対するシルデナフィルやボセンタン等新規治療薬の効果と、ACE deletion/insertion多型、GNB3 C825Tの多型、NOS3 G894T多型等との関係を明らかにすること、さらに、右心機能とこれらの多型の関係を明らかにすることである。そして最終的には、有効群を明らかにし、個別化医療につなげることである。本年は、シルデナフィル既使用PAHおよびCTEPH37例について、ACE遺伝子多型およびGNB3 C825Tの多型と、臨床状態悪化までの期間、心エコーによる推定肺動脈圧、BNP値、6分間歩行距離の変化との関連について検討した。結果、ACE遺伝子多型と臨床効果には明らかな関連を認めなかったが、GNB3 C825T多型のTT群で、臨床状態悪化までの期間が有意に長く、6分間歩行距離の増加が大きい傾向であることが判明した。このTT群は、勃起不全に使用した場合もその効果が大きいとされる群であることから、肺高血圧症における肺血管反応性にも、本多型が影響し、TT群でより有効であることが判明した。この結果は、本年の日本呼吸器学会ならびに、American thoracic society (ATS)にて発表予定である。また、右心機能の評価法として、320列造影CTにおける右室左室容積比、中隔の変形度、駆出率など、新しい評価法を開発し、昨年のAmerican Heart Associationで発表した。今後、右心機能と多型との関係を検討予定である。また、CTEPHに関しては、フィブリノーゲンαの遺伝子多型が発症素因であることを明らかにし報告した。本多型については、いまのところ、治療薬や予後との関係は明らかでない。今後他の治療薬や他の多型についても検討予定である。
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