研究概要 |
自己免疫性肺胞蛋白症(aPAP)に対するGM-CSF吸入多施設共同臨床試験では重篤な副作用なく62%の奏効率が得られたが,奏効例・非奏効例ともに再治療が必要になる例がある.本年度の研究でGM-CSF吸入治療後の予後と臨床所見の関連について解析した.GM-CSF吸入治療(第1週~第12週 250μg/日吸入8日+休薬6日6コース,第13週~第24週 125μg/日吸入4日+休薬10日,6コース,総吸入量15mg)を受けた35例(男性20例,女性15例,年齢中央値55)の肺胞蛋白症患者(抗GM-CSF抗体価中央値19.8μg/mL, 24例でAaDO2が10mmHg以上改善)のGM-CSF吸入治療後,30カ月間中の再治療の有無と再治療までの期間を調査し,臨床所見との関連を解析した.35例中,12例が追加治療(全肺洗浄6例,GM-CSF吸入5例,NAC吸入1例)を受け,追加治療までの期間の中央値は50.5週で,再治療群(AT群)と再治療を要しなかった群(FR群)では年齢,性別,抗GM-CSF抗体価に有意差がなかった.治療前の%肺活量(VC),末梢血中の血小板数,好塩基球数で,AT群とFR群との間に有意差がみられた.また治療終了直後の指標では,在宅酸素の有無,%DLco,血清LDHで有意差がみられた.治療前%VCは.年齢,性,PaO2と相関せず,奏効例―非奏効例間で有意差ないが,FR群では, AT群より有意に高く(85.9±2.7 vs 71.6±3.8, p=0.0045),基準値80.5%で,感度92%・特異度74%で再治療を予測した.無治療期間分析では高値群(%VC≧80.5)と低値群(%VC<80.5)の間で有意差(p=0.0002)がみられた.自己免疫性肺胞蛋白症で,治療前%VCは,GM-CSF吸入治療後の再治療の必要性を予測する因子となる可能性が考えられた.
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