研究概要 |
LPSプライミングを受けたマウスは、LPSによる気管内再投与刺激に対して、肺損傷からの回復が通常マウスに比べて早期に認められ、また、高濃度LPSに対して抵抗性を示すことが知られているが、その機序はいまだ不明である。われわれは炎症を惹起する肺胞マクロファージのsubtypeに着目してその機序を明らかにしようとした。 LPSブライミング群にLPS気管内再投与した所見で、マウス肺胞洗浄液のマクロファージはCD11b^<high>CD11^<high>,CD11b^<low>CD11c^<high>,CD11b^<high>CD11c^<low>というsubtypeを示した。Narveな状態ではCD11b^<low>CD11c^<high>が主なpopulationである。このように、LPSプライミング後にもマクロファージのsubtypeが異なっていた。また、LPS再投与によるBAL中好中球のアポトーシスはプライミングで亢進していた。ここの細胞が持つサイトカインを確認するとプライミング群はIL10の産生が亢進し、TNFαの産生低下を示した。この肺胞マクロファージをクロドロネイトによりLPS再投与前に肺内よりなくすと、プライミングの効果は消失した。 IL10ノックアウトマウスを使用すると、やはりLPSプライミング現象は認められなかった。BAL中好中球のアポトーシスはプライミング群、非プライミング群で差を認めず、あるsubtype群の肺胞マクロファージからIL10が産生亢進され、IL10産生肺胞マクロファージが肺損傷の収束に関与している可能性が分かった。
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