研究概要 |
今年度までに以下の検討をおこなった. 1.PPVを抗原として接種した場合の抗体価の評価法の確立を行なった. 2.BALB/cに対して23価肺炎球菌英膜多糖体ワクチン(PPV)を皮下接種および経鼻接種を行ない,経鼻接種において抗原特異的IgAが効率的に誘導されるかいなか検討し,血清中には誘導が確認された. 3.気管支肺胞洗浄液中に抗原特異的IgGは誘導されたが,IgAは十分とはいえなかった. 4.そこでアジュバンドとしてあらかじめmuramyl dipeptide-Lys (MDP-Lys)で前処置した群を準備し,T細胞非依存性抗原であるPPVを皮下接種あるいは経鼻接種した.この場合にT細胞,特にCD4^+ T細胞,細胞傷害性T細胞(CTL)の主な構成細胞であるCD8^+ T細胞,制御性T細胞(Treg)などのT細胞の関与を介して抗体産生を誘導することになるか否かを,気管支随伴リンパ組織(BALT)内に存在するeffector細胞の動態を中心に解析するため,BALTの過形成過程をあきらかにした.
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今後の研究の推進方策 |
現在,気管支肺胞洗浄液中の抗原特異的IgAが十分に誘導されるために,皮下接種の回数,腹腔投与との比較,アジュバンド(muramyl dipeptide-Lys)処理が必要であるかのいずれが有効か検討していく. また,これらの免疫学的動態発動時における気管支随伴リンパ組織内でのCD4陽性細胞,CD8陽性細胞,制御性T細胞の染色を経時的に行うことにより,明らかにすることを予定している.
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