研究課題/領域番号 |
22590857
|
研究機関 | 藤田保健衛生大学 |
研究代表者 |
今泉 和良 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (50362257)
|
研究分担者 |
佐藤 光夫 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (70467281)
橋本 直純 名古屋大学, 医学系研究科, 助教 (30378020)
|
キーワード | 内科 / 呼吸器内科 / 肺癌 / リンパ節転移 |
研究概要 |
最初に、肺癌リンパ節転移におけるリンパ管新生の関与を明らかにする目的で肺癌およびリンパ節における各遺伝子群の発現を定量的なRT-PCR法を用いての解析を開始した。候補遺伝子としてのいくつかは発理が確認できなかったため、腫瘍内微小環境が遷延化低酸素状態になるという観点から検討した。腫瘍の増大およびそれに関連するリンパ節転移および血行性転移はしばしば腫瘍微小環境にともなう局所でのさまざまな因子によって決定付けられる。低酸素刺激がEMTを誘導するという報告と合わせて、肺癌腫瘍病変が低酸素化状態に陥っているかどうかを評価した。肺線維症の線維化病変が遷延化低酸素状態を示していることと合致した所見として肺癌腫瘍内においても遷延化低酸素状態が存在することが確認された。遷延化低酸素状態にさらされる肺癌細胞はEMTの表現型獲得とともに、細胞遊走能の亢進を示した。そうした細胞表現型を獲得した状況の細胞で低酸素刺激により安定化HIF-1a発現を呈することの生物学的意義を評価するために、通常酸素濃度下でも安定的に発現する2箇所のプロリンをアラニン置換したHIF-1adPAを組み込んだDox誘導型遺伝子発現細胞株を樹立した。Dox誘導HIF-1adPAにより有意なVEGF-Aの発現を示すことが確認された。センチネルリンパ節におけるリンパ管新生が増強されている事実と合わせて、組織微小環境である遷延化低酸素状態は肺癌細胞にEMT細胞表現型を獲得させるとともに、VEGF-Aを発現誘導をもたらすことが示された。この機序によって、腫瘍細胞がリンパ管新生・増生をもたらして、リンパ節転移を誘導することにつながる可能性が考えられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、予想した候補遺伝子については発現が確認できていないが腫瘍内環境の解析からリンパ管転移の機序の解明につながる知見が得られた。
|
今後の研究の推進方策 |
リンパ管新生に関与する遺伝子発現は、腫瘍微小環境を網羅的に制御する遺伝子と関連して発現してくるkの雨声に着目して、今後の新たな治療戦略の構築につなげていきたい。
|