研究課題
睡眠時無呼吸における遺伝子多型について、TNF-α,GPIIIa,PEAR-Iを候補遺伝子と考え計画を進めてきた。最近、低酸素曝露によって生成される酸化ストレスを制御する蛋白質としてheme oxygenase-1(HO-1)蛋白およびそれをコードする遺伝子HMOX-1が注目されている。そこで、従来の計画に加えHMOX-1遺伝子も候補遺伝子として追加することとした。HO-1は低酸素等で誘導される酵素蛋白であり、Heme代謝経路を活性化し、抗炎症作用、血管拡張作用のある一酸化炭素、抗酸化作用のあるビリルビンを産生することで、酸化ストレスに対する防御機構を担う。酸化ストレスは動脈硬化病変の主要な惹起・促進因子と考えられており、HO-1蛋白誘導は心血管障害や脳血管障害の発症に対し防御的に働くと考えられている。平成22年6月11日に本研究関連書類を提出し、8月18日に倫理委員会より承諾を得、京大病院通院中の睡眠時無呼吸患者より血液検体を回収・蓄積している。一方、細胞への低酸素暴露実験は独自に開発した低酸素曝露装置を用いて、無呼吸低呼吸指数6相当の間歇的低酸素を実現し、HeLa細胞を間歇的、持続的低酸素、通常濃度酸素下で4時間培養した。hypoxya responsive element(HRE)を介した転写活性をluciferase assayにより測定すると共に、炎症応答に関してTNF-αのmRNA発現をreal-time PCR法で検討した。HREを介した低酸素応答は間歇的低酸素で亢進するが、持続的低酸素ではより亢進を認めた。TNF-αの発現は、持続的に比し、間歇的低酸素でより増強された。間歇的低酸素に特異的な細胞応答を認め、実験系の妥当性が証明された。この結果は第50回日本呼吸器学会学術講演会シンポジウム(2010年4月、京都)において報告した。
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