1.非小細胞肺癌組織を用いた治療効果予測因子の検討 非小細胞肺癌で外科的に切除された32症例の腫瘍組織を用い、DNAを抽出後にEGFR(上皮成長因子受容体)変異の検出、ras遺伝子変異の検出を行った。現在、同一症例の気管支鏡検体を用いた比較検討を行った。またホルマリン固定標本を用い、ERCC-1 (excision repaircross-complementation group 1)、RRM1 (ribonucleotide reductase M1)、TS(チミジル酸合成酵素)、6チュブリンの発現の有無について免疫組織化学法による検討を行った。いずれの分子の染色も可能であったため、現在は、同一症例の気管支鏡検体を用いた比較検討を行っている。 これらの検討により、非小細胞肺癌の気管支鏡診断時の検体を用い、治療前に治療効果の予測が可能となる検出系を確立することが可能となる。本研究により、肺癌治療の個別化と高度先進医療への発展が期待される。 2.臨床試験の実施計画 進行非小細胞肺癌の個別化治療を目的とし、塩酸イリノテカンとEGFR阻害薬(タルセバ)併用の第MI相試験を計画、実施している。本試験では、EGFR変異を治療前に検討し、治療効果との相関を検討するとともに、塩酸イリノテカンの副作用の予測のためにUGT(UDPグルクロン酸転移酵素)遺伝子多型の検出を行っている。本研究により、患者さんにとってより安全で効果が高い肺癌治療を提供することが可能となる。
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