研究概要 |
1.非小細胞肺癌組織を用いた治療効果予測因子の検討 非小細胞肺癌で外科的に切除された32症例の腫瘍組織と同一症例の気管支鏡検体を用い、ERCC-1 (excision repair cross-complementation group 1)、RRM1 (ribonucleotid ereductase M1)、TS(チミジル酸合成酵素)、βチュブリンの発現の有無について免疫組織化学法による比較検討を行った。ERCC-1ではr=0.512(p=0,003)、RRM1はr=0.439(p=0.012)と切除検体と気管支鏡診断時の検体に有意な相関を認めたが、TSは相関を認めなかった。これらの検討により、非小細胞肺癌の気管支鏡診断時の検体を用い、治療前に治療効果の予測が可能となる検出系を確立することが可能となる。体研究により、肺癌治療の個別化と高度先進医療への発展が期待される。 2.臨床試験の実施 進行非小細胞肺癌の個別化治療を目的とし、塩酸イリノテカンとEGFR阻害薬(タルセバ)併用の第I/II相試験を実施し、試験は終了した。本試験では、EGFR変異を治療前に検討し、治療効果との相関を検討するとともに、塩酸イリノテカンの副作用の予測のためにUGT(UDPグルクロン酸転移酵素)遺伝子多型の検出を行っている。現在タルセバと塩酸イリノテカンについて、薬物血中濃度データの解析を行っているため、両薬剤の併用時の、薬物間相互作用、試適投与量についての、情報を提供することが可能となる。
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