研究概要 |
まず、ELISA法にて各種疾患の気管支肺胞洗浄液(BALF)中オステオポンチン(OPN)濃度を測定し、急性好酸球性肺炎ではBALF中OPN濃度が著明に高値であるものの、慢性好酸球性肺炎および薬剤性好酸球性肺炎といったBALF中に好酸球が増加する疾患では同様にBALF中OPN濃度が著明高値を呈することが判明した。したがって各種好酸球性肺炎では薬剤性間質性肺炎、過敏性肺炎、特発性肺線維症およびサルコイドーシスと比較してBALF中OPN濃度が優位に高値という事実が得られた。好酸球性肺炎の経過との関連性では、急性期にBALFで高濃度認められたOPNは寛解期には低値に戻っており、病勢と関連して増加していることが判明した。急性好酸球性肺炎でBALF中のOPN濃度とその他のサイトカイン濃度との関連を検討すると、BALF中のOPN濃度はIL-5,IL-10,CCL11,CCL17,CXCL10の濃度と相関していた。OPNは急性好酸球性肺炎の血清中にも多量に認められたが、BALF中OPN濃度とは相関しなかった。次に、BALF貼り付け細胞に対して、蛍光二重染色法でOPNの産生細胞を検討した結果、急性好酸球性肺炎のBALF中好酸球に強いOPNの発現が認められた。以上より、好酸球由来のOPNが急性好酸球性肺炎の病態形成に関与していることが明らかになった。
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