研究課題/領域番号 |
22590870
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
副島 研造 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (30236145)
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研究分担者 |
猶木 克彦 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40265806)
寺井 秀樹 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (50445293)
浜本 純子 慶應義塾大学, 医学部, 特任助教 (40570239)
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キーワード | 非小細胞肺癌 / 腺癌 / 扁平上皮癌 / microRNA / Exon array / 染色体転座 |
研究概要 |
Affymetrix社のGeneChipを用いて100数例の非小細胞肺癌患者における網羅的mRNA発現プロファイリングを行い、pathway signature解析でPTEN loss signatureと極めて高い類似性を示した遺伝子群の中から、これまでの文献上、肺癌において新規性が高く、かつdruggableなドメインを有する遺伝子に注目し、3遺伝子を選択した。各遺伝子毎にそれぞれ、siRNAによる標的遺伝子のknock downを行い、細胞増殖、足場非依存性増殖を調べた結果、2遺伝子については有意な細胞増殖の抑制が見られた。 MicroRNAに関しては、上記の検体に対してApplied Biosystems:TaqMan Human MicroRNA Array v2.0を用いて、既知のmicroRNA発現プロファイリングを行い、腺癌と扁平上皮癌を選別しうる3つのmiRNAを同定した。さらに上記検体とは異なる88検体でvalidationを行い、組織型の選別マーカーとしての有用性を確認した。またそれぞれのmiRNAの機能解析を行い、そのうちの1遺伝子については強発現により細胞増殖の抑制、運動能の低下が認められることが明らかとなった。 Exon arrayによる染色体転座のスクリーニングに関しては、上記検体に対してexon array(Affymetrix社)を行い、まずkinaseに注目し、array結果を解析し、個々の遺伝子内でexon間の発現がその前後で急激に変化している遺伝子を複数抽出した。抽出した遺伝子について、その遺伝子が抽出された検体のgenomic DNAを用いて5'-RACE法による遺伝子の同定を試みるも困難な事例が多く、ビオチン標識したプローブを用いた増幅法などいくつかの工夫を試みたが、多くの場合RACE法では同定が困難と考えられ、今後蛋白を用いた同定法を試みる予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
これまで候補転座遺伝子に関して、N-末端側の融合遺伝子の同定を5'-RACE法により行ってきた。いくつかの候補に関しては、さらにN-末端側およびC-末端側にそれぞれいくつかのプローブを作り、C-末端側において明らかに高いmRNAの発現を認めることを確認した上で、さらに候補遺伝子領域に対するビオチン標識したプローブを用いた増幅法による手法も試みたが、多くの場合RACE法では同定が困難であったため。
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今後の研究の推進方策 |
転座遺伝子の存在が疑われる症例とそうでない症例からそれぞれ蛋白を抽出し、候補転座遺伝子のC-末端側の遺伝子に対する抗体でまずWesternを行い、それぞれの症例において異なる部位にバンドが認められた場合には転座に伴う新規の蛋白が存在する可能性が極めて高いと考えられる。したがって遺伝子転座候補遺伝子の同定法に関しては、Westernで異なる部位にバンドが認められた症例に対して、同抗体で免疫沈降を行い、泳動ゲルをCBB染色後に切り出し、質量分析によりN-末端側の融合遺伝子を同定する手法により解析する予定である。
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