研究課題
Affymetrix社のGeneChipを用いて100数例の非小細胞肺癌患者における網羅的mRNA発現プロファイリングを行った。その中で新規標的分子としてFGF-FGFRシグナルに着目して発現と予後との相関を検討したところ、23種のFGFおよび4種のFGFRのうち、FGF9発現のみが有意に予後と相関していた。FGF9のmRNA発現は免疫染色による蛋白発現とも相関し、扁平上皮癌には1例もなく腺癌・大細胞癌にのみ発現しており、組織型、病期、年齢、EGFR遺伝子変異などを含む多変量解析においても独立した予後不良因子であった。MicroRNAに関しては、上記の検体に対して網羅的miRNA発現解析を行い、腺癌と扁平上皮癌を選別しうるmiR-196b, miR-205およびmiR-375を同定した。さらに上記検体とは異なる88検体でvalidationを行い、組織型の選別マーカーとしての有用性を確認し投稿論文が受理された。一方その中の一つのmiRNAについては高発現群において低発現群と比較して有意に生命予後が不良であることからさらに機能解析を行い、肺癌細胞株でのKOあるいは発現誘導によりそれぞれ細胞運動能の低下あるいは増強が生じること、さらに標的がclaudin1分子であることを突き止めた。Exon arrayによる染色体転座のスクリーニングに関しては、上記検体に対してexon array(Affymetrix社)を行い、個々の遺伝子内でexon間の発現がその前後で急激に変化している遺伝子をkinaseに注目して複数抽出した。抽出した遺伝子について、相手方の結合遺伝子を同定するため5'-RACE法、ビオチン標識したプローブを用いた増幅法、抗体を用いた免疫沈降法などいくつかの工夫を試みたが、いずれの方法によっても同定が困難であり、現在ターゲットキャプチャー・ゲノムシーケンスを行っている。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Mol Med Rep
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
PLoS One
巻: 8(3) ページ: e59444
10.1371/journal.pone.0059444
Mol Cancer Res
10.1158/1541-7786.MCR-12-0652