(目的)治療に難渋する肺線維症において線維化の進行を抑制できる薬剤の開発が注目されている。一方魚脂に多く含まれるエイコサペンタエン酸(EPA)が生体内の炎症部位でレゾルビンE1(RvE1)に生成され、強い抗炎症性作用をもつ物質であることが明らかになった。今回我々はブレオマイシン誘発性マウス肺線維症モデルを用いて線維化期におけるRvE1の効果について検討した。(方法)ブレオマイシン(1mg/kg)を経気道的にC57BL/6マウスに投与し、ブレオマイシン誘発性肺線維症モデルを作成した。ブレオマイシン投与後14日から20日までRvE1(100ng/マウス)を連日腹腔内投与した。21日目にマウスの気管支肺胞洗浄(BAL)を行い白血球数および蛋白量について検討した。また肺組織を取り出し組織学的な検討およびコラーゲン量を測定し、線維化の程度を検討した。さらに同日の肺機能の測定を行った。(結果)PBSを連日腹腔内投与したコントロールマウスに比べRvE1投与マウスはブレオマイシン投与21日目のBAL中の炎症性細胞ならびに蛋白の減少を認めた。またRvE1投与マウスは組織学的に線維化の程度あるいは肺内のコラーゲン産生量が減弱していた。さらにRvE1群においてマウス肺機能(Lung Elastance)の改善を認めた(結語)抗炎症性脂質メディエーターRvE1はマウスブレオマイシン誘発性モデルの線維化期においてその抑制効果があることが示唆された。
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