研究課題
水素分子(H2)の抗酸化作用はハイドロキシラジカル(・OH)などの酸化力が強い活性酸素種への選択的還元性と高い生体膜通過性を特徴とし臨床応用が期待されている。放射線肺障害は・OHが主な傷害活性酸素種である為、昨年度まではH2による障害抑制効果を培養細胞と動物モデルで検討した。結果、H2添加によりヒト肺胞上皮細胞に放射線照射で産生される・OHの低下がESR解析で示され、8-OHdGの定量やcaspase3発現解析などから酸化ストレスとアポトーシスの増大が抑制されていた。放射線肺障害マウスモデルでも8-OHdGやTUNEL染色、Bax発現解析から照射後1週間の急性期でH2処理群(照射時3% H2吸入、以後H2水自由飲水)の肺で抗酸化や抗アポトーシス効果を認め、照射後5ヶ月の慢性期にはH2処理群で肺線維化の減少が認められた。このように放射線肺障害に対する水素分子治療の可能性が示唆される事を論文報告した。今年度は抗がん剤シスプラチンによるマウス腎毒性モデルにおいてH2水の飲水のみで腎障害が抑制される報告もあるため、肺がん治療薬ゲフィチニブの副作用である肺障害へのH2水飲水による抑制を検討した。ナフタレンをマウス腹腔内に投与し気道上皮に傷害を与え、更にゲフィチニブを1週間経口投与し傷害が増強するゲフィチニブ副作用肺障害モデルを作製した。ナフタレン肺障害のゲフィチニブによってより増強した体重低下やBALF中や肺組織気道周囲での炎症細胞の増加がH2水飲水群で有意に抑制された。以上、H2治療により放射線肺障害やゲフィチニブ肺障害が抑制された。H2摂取の安全性は高いことから、早期の臨床応用が期待できる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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