今年度は次年度以降に実施予定の臨床検体を使用した研究を行う際に必要な標準物質を作成する作業を行った。 具体的には、呼吸器細菌感染症あるいは敗血症原因菌として主要な菌についてライソザイム処理後DNA抽出を行った。細菌特異的リボゾームRNA(16S rRNA)に対する単一プライマーを使用してPCRを施行し数種類の制限酵素でPCR産物を消化した。その後Genetic analyzer ABI PRISM 3130およびGeneScanを使用して泳動パターンを決定する。それと同時にT-RFLPパターンをin silicoで予想して実際の泳動パターンと比較した。 以上の研究と並行して、細菌を限界希釈後PCR施行しDNA ligation kitを使用してサブクローニングし、クローンをGenetic Analyzer ABI PRISM 3130を利用してダイレクトシークエンスを施行した。得られたシークエンスをNCBIのデータベースと比較して、抽出したDNAから得られたシークエンスが使用した細菌由来のものであることを確認した。またこれらのDNAを鋳型として限界希釈を行いそれを利用して定量的PCRを施行し、標準直線を引く作業を行った。 これらの結果は次年度以降に行われる臨床検体を使用した研究の基礎資料として重要である。これらの基礎資料があって初めて原因不明の臨床検体に対して対処が可能であると考えられる。
|