非結核性抗酸菌症(NTM)はその罹患率は上昇を続けている新興・再興感染症であるが、NTMの分子生物学的・分子疫学的研究は全く行われていなかった。日本全国の病院・診療所の様々なNTMの臨床分離株を利用して臨床現場で培養の困難な又は同定不能の抗酸菌症について、皮膚疾患由来の新種抗酸菌を報告し、日本で最初のまた皮膚疾患としては世界で最初のM. massiliense集団感染、および同菌種による呼吸器並びに皮膚感染症等を報告し簡便な鑑別法の開発を行い、簡便な鑑別法の内容で第53回日本呼吸器学会学術講演会でミニシンポジウムを行った。 さらに病原体ゲノム解析研究センターとの共同研究でM. massilienseの全ゲノム配列を決定し、第53回日本呼吸器学会学術講演会でミニシンポジウムを行った。ブルーリ潰瘍はM. ulceransによる難治性皮膚潰瘍で3番目に多い抗酸菌感染症としてWHOに注目されているが、M. ulcerans類似菌“M. ulcerans subsp. shinshuense”(M.shinshuense)による皮膚潰瘍に関して新たな日本の症例を収集しブルーリ潰瘍と呼ぶべき重篤な症例が含まれていることを報告した。2011年12月と2012年8月、文部科学省新学術領域「ゲノム支援」研究班拡大班会議に出席し、「ブルーリ潰瘍原因菌であるMycobacterium shinshuenseが持つ毒性脂質合成酵素coding plasmid pMUM001自然欠損変異株に対する全ゲノムシークエンス解析」について発表した。
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