研究課題/領域番号 |
22590876
|
研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
楊 景堯 筑波大学, 医学医療系, 准教授 (90323302)
|
キーワード | Th17細胞 / 免疫複合体腎炎 / Th1/Th2 |
研究概要 |
本研究は、免疫複合体腎炎におけるTh17/Th1/Th2細胞の役割を解明することを目的としている。研究代表者はTh17、Th1、Th2細胞優位発現マウスを独自に開発し、本研究ではこれらのマウスを用いて、1、実験腎炎系(BSA免疫複合体腎炎)による解析、2、自己免疫腎炎Nrf2KOマウス遺伝背景Th17/Th1/Th2細胞優位発現マウスの解析、3、Balb/c遺伝背景Thl7細胞優位発現マウスにおけるIgA高値と腎炎発症の解析の3項目を行い、ヘルパーT細胞の分化制御と免疫複合体腎炎の関係を明らかにする。平成23年度では実験腎炎系であるBSA免疫複合体腎炎の解析、およびTh17優位細胞発現の個体解析を行った。Th1/Th2/Th17細胞が優位発現するT-bet過剰発現マウス(Th1優位)、GATA-3過剰発現マウス(Th2優位)、RORγt過剰発現(Th17優位)マウス、および野生型(WT)にBSA腎炎を誘導した結果、RORγt過剰発現マウスは他のマウスと比較し、尿蛋白の増加が多く、糸球体肥大、メサンギウム増殖、半月体形成などの腎炎所見が重篤であった。BSA腎炎の発症、増悪には、Th17細胞が関与している可能性が示唆されたため、Th17細胞の関与機序をサイトカイン、ケモカインにて検討した。腎臓におけるIL-18、IFN-γ、IL-4、MCP-1、RANTES、CCL20、MIP1a、MIP1bの発現検討では、CCL20がRORγt過剰発現マウスにて腎炎発症時に著しい増加が確認された。CCL20はさまざまな炎症細胞の誘導に関わっていることが知られており、今後は誘導された炎症細胞の特定および発症との関連性の解明を引き続き行う予定である。また、RORγt過剰発現マウスの個体解析では、多クローン性の高ガンマグロブリン血症を呈することが明らかになった。Th17細胞優位発現による高ガンマブロルリン血症がBSA腎炎の発症に関与していることも考えられるため、高ガンマグロブリン血症の発症機序の解明も同時に進める予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度までにBSA腎炎におけるTh17細胞の関与を明らかにしており、また関与ケモカインの特定を明らかにした。当初の予定に照らし合わせ、おおむね順調に進展していると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
本研究課題は当初予定通りおおむね進んでいる。平成24年度中に論文発表を目指し、追加検討を進めている。また、自己免疫腎炎Nrf2KOマウス遺伝背景Th17/Th1/Th2細胞優位発現マウスおよびBalb/c遺伝背景Th17細胞優位発現マウスの解析も行っており、平成24年度中での完了を目標に引き続き研究を進める。
|