研究課題
本研究は、免疫複合体腎炎におけるTh17/Th1/Th2細胞の役割を解明することを目的としている。研究代表者はTh17、Th1、Th2細胞優位発現マウスを独自に開発し、本研究ではこれらのマウスを用いて、ヘルパーT細胞の分化制御と免疫複合体腎炎の関係の解明を試みた。免疫複合体腎炎モデルのbovine serum albumin (BSA)腎炎をそれぞれのマウスに誘導し、腎炎を解析した。Th1/Th2/Th17細胞が優位発現するT-bet過剰発現マウス(Th1優位)、GATA-3過剰発現マウス(Th2優位)、RORγt過剰発現(Th17優位)マウス、および野生型(WT)にBSA腎炎を誘導した結果、RORγt過剰発現マウスは他のマウスと比較し、尿蛋白の増加が多く、糸球体肥大、メサンギウム増殖、半月体形成などの腎炎所見が重篤であった。BSA腎炎の発症、増悪には、Th17細胞が関与している可能性が示唆されたため、Th17細胞の関与する機序をさらに解明するため、サイトカイン、ケモカインにて検討した。その結果、腎臓組織のCCR6がRORγt過剰発現マウスにて腎炎発症時に増加が確認された。さらに、腎組織のFACS解析を行ったところ、WTマウスの腎臓と比べRORγt過剰発現マウスではCCR6+IL-17+細胞の割合がBSA腎炎誘導により増加していた。以上の結果よりCCR6陽性細胞が、本実験系において病態形成に関与していることが推測された。なお、CCR6陽性細胞はTh17細胞以外も存在しているため、Th17細胞以外のCCR6陽性細胞の関わりについても、今後さらに検討が必要と考えられる。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2012
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)
European Journal of Immunology
巻: 42(8) ページ: 1999-2009
10.1002/eji.201142250