本年度は、尿バイオマーカーに関しては、検体の収集及び、IP-10の測定および質量分析計により計測に取り組んだ.また、脂肪由来幹細胞を用いた治療では、多分化能と自己複製の確認を行うと共に、腎虚血再還流障害モデルへの導入に取り組んだ. その結果、尿バイオマーカーに関しては、IP-10の発現経過により、急性腎症害から回復の可能性を推測できる事を明らかにした.また、質量分析計では、腎機能回復例と非回復例では、特異的なタンパク増加が複数有ることを明らかにしました.さらに、脂肪由来幹細胞を用いた動物実験では、多分化能と自己複性能の確認はとれたものの、腎固細胞への分化は確認できなかった.現在、腎虚血再還流障害モデルへの細胞投与実験を行っており、投与可能な細胞数、投与回数などを明らかにした. これは、尿バイオマーカーに関する知見は、急性腎症害症例の回復の可能性を推測する因子として意義あるものである.また、質量分析計で確認したタンパクは、バイオマーカーとして有用であると共に、病態解明という点からも意義あるものである.さらに、脂肪由来幹細胞の虚血モデルへの投与実験の投与可能な細胞数、投与回数等が明らかになった事は、今後の動物実験を進める上で意義あるものである. 来年度は、尿バイオマーカーに関しては、さらに尿検体を収集すると共に、質量分析計で確認したタンパクの同定に取りかかる予定である.また、脂肪由来幹細胞の虚血腎障害モデルにおいて、GFPをマーカーとして、細胞の行方や増殖の有無などの検討に取りかかる予定である.
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