研究概要 |
急性腎障害(AKI)や慢性腎臓病(CKD)を問わず腎障害と心臓や肺などの多臓器障害との連関が注目されている。申請者らは慢性腎臓病モデルを用いて新たなrenin-angiotensin-system(RAS)活性化物質としてのミッドカイン(MK)が「RASを介する腎・肺クロストーク」という新たな疾患概念において重要な役割を果たしていることを解明した。平成22年度の実験計画では、AKI・CKDでの特に腎・肺におけるMK発現誘導のメカニズムおよびRASとの相関を明らかにするため以下の実験を施行している。 (1)AKI:虚血によりHIF1依存性に撚の産生が誘導されることの証明 (2)CKD:腎障害時に肺でのMK産生を抑制し、血圧上昇や腎障害進展を抑制することで、腎障害の新たな治療戦略を構築する。 上記の計画に従い、MKの発現抑制するsiRNAを作成し、培養肺血管内細胞を投与後のMK産生量をreal time PCR、WBを用いて確認し、培養尿細管細胞を低酸素状態下で培養し、HIF1依存性にMKの産生が変化することを確認している。AKIモデルである両側IRIモデル・両側腎摘出モデルを野生型とMK欠損マウスで作成し、MK発現がHIF-1・依存性であることを確認し、肺障害を病理学的に検討し、肺内炎症性サイトカイン及びMidkine依存性RAS活性化を測定し局在を免疫染色で確認している。また、MK欠損マウスを用いて5/6腎摘出モデルやL-NAME投与モデルを作成し、RAS(angiotensinogen, renin, ACE, AT-I, AT-II)の発現をWesternblotting, real time PCRで確認、血圧の測定を行っている。腎障害の検討として、腎の病理組織評価、マクロファージ、好中球の免疫染色で炎症細胞浸潤の確認しているところである。
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