研究課題/領域番号 |
22590886
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 和一 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (90508920)
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研究分担者 |
湯澤 由紀夫 藤田保健衛生大学, 医学部, 教授 (00191479)
丸山 彰一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (10362253)
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キーワード | ミッドカイン / 急性腎障害(AKI) / 慢性腎臓病(CKD) / RAS |
研究概要 |
急性腎障害(AKI)や慢性腎臓病(CKD)を問わず腎障害と心臓や肺などの多臓器障害との連関が注目されている。申請者らは慢性腎臓病モデルを用いて新たなrenin-angiotensin-system(RAS)活性化物質としてのミッドカイン(MK)が「RASを介する腎・肺クロストーク」という新たな疾患概念において重要な役割を果たしていることを解明した。平成22年度の実験計画では、AKI・CKDでの特に腎・肺におけるMK発現誘導のメカニズムおよびRASとの相関を明らかにするため平成23年度も引き続き実験を施行した。 (1)AKI:虚血によりHIF1依存性にMKの産生が誘導されることの証明 結果:MKの発現抑制するsiRNAを作成し、培養肺血管内細胞を投与後のMK産生量をrealtime PCR、WBを用いて確認し、培養尿細管細胞を低酸素状態下で培養し、HIF1依存性にMKの産生が変化することを確認した。AKIモデルである両側腎摘出モデルを野生型と甑欠損マウスで作成し、肺障害を病理学的に検討し、肺内炎症性サイトカイン及びMK依存性RAS活性化を測定し局在を免疫染色で確認した。 (2)CKD:腎障害時に肺でのMK産生を抑制し、血圧上昇や腎障害進展を抑制することで、新たな治療戦略を構築する。 MK欠損マウスを用いてL-NAME投与モデルを作成し、RAS(angiotensinogen, renin, ACE, AT-I, AT-II)の発現をWesternblotting,realtimePCRで確認、血圧の測定を行った。野生型マウスとMKノックアウトマウスで血圧の差は認められたが、RASの差は両者では認められなかった。NOの発現抑制した場合の血圧の差がRASを介さずにどういうメカニズムで起こっているのかが今後の課題となった。 平成24年度は上記の実験をまとめることと新規発症高血圧患者の腎機能、血中ミッドカイン濃度、血中AT-II濃度及び血圧の相関、及び正常人との比較に関する臨床研究を推進するためにIRB臨床研究申請しYUMIN登録計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
動物実験モデルはAKI,CKDともに順調に進んでいる。 臨床研究の登録作業が少し遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
MK欠損マウスを用いてL-NAME投与モデルを作成し、血圧の差は認められたが、予想と反してRASの発現に野生型マウスとMKノックアウトマウスの差は認められなかった。NOの発現抑制した場合の血圧の差がRASを介さずにどういうメカニズムで起こっているのかが今後の課題となった。他の血圧調節因子(神経物質、エンドセリンなど)を調べる。
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