肥満や加齢は腎疾患における予後悪化因子であるが、その進展機構は不明である。本研究では、肥満や加齢病態における尿細管間質病変の悪化機構を細胞内浄化機構オートファジーに着目し検討した。 1)尿細管細胞での糸球体漏出蛋白の再吸収、蛋白分解におけるオートファジーの役割の解明 通常食飼育若年(3ヵ月齢)マウスならびに脂肪含量60%の高脂肪食を4週間摂取した肥満マウス、24ヵ月齢加齢マウスにprotein-overloadを行ったところ、通常食飼育若年マウス腎に比し、肥満ならびに加齢マウス腎で明らかな尿細管障害、間質の炎症の増悪が確認された。通常食飼育若年マウスに対するProtein-overloadにて近位尿細管細胞におけるオートファジー活性の亢進を認めたが、肥満および加齢状態で抑制された。 2)オートファジー阻害作用を有する3-methyladenine(3-MA)によるオートファジー抑制下において、培養尿細管細胞障害の悪化が確認された。 3)オートファジー関連蛋白であるLAMP2遺伝子欠損によりオートファジーが抑制されたマウスに対しprotein-overloadを行った結果、尿細管障害の悪化が確認された。 以上の結果より、肥満や加齢における尿細管間質病変の悪化に尿細管細胞でのオートファジー活性化障害が関与している事が示唆された。
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