研究課題
まず、IgA腎症患者の扁桃特異的細菌叢の同定を行った。大阪大学腎臓内科にて腎生検を行い診断が確定し扁桃摘出ステロイドパルスを行った患者は80名いる。また、コントロールとして慢性扁桃炎にて扁桃摘出を行った患者の扁桃の組織は25名いる。これらの扁桃に特異的な細菌叢をDDGE法を用いて検出した。さらにIgA腎症群で有意に検出率の高い細菌に相当するバンドを切り出してシーケンスを行うことで菌種の同定を行い、Treponema sp., Haemophilus segnis, Campylobacter rectusであった。これらの菌は歯周病菌としても知られており、口腔内および扁桃の細菌叢がIgA腎症の発症・進展に関わる可能性が示唆された。IgA腎症患者において、Treponema sp.は20%、Haemophilus segnisは53%、Campylobacter rectusは43%に陽性であった。さらに、この細菌叢と扁桃摘出+ステロイドパルス療法の治療効果との相関の検討を行った。Cox比例ハザード分析にて尿蛋白の陰性化には、Treponema sp.はハザード比1.97(p=0.09)、Campylobacter rectusはハザード比1.94(P<0.05)、Treponema sp. or Campylobacter rectusは2.34(P<0.05)と有意に相関を認めた。また、尿潜血の陰性化には、Treponema sp.はハザード比4.14(p<0.01)、Campylobacter rectusはハザード比2.55(P<0.05)、Treponema sp. or Campylobacter rectusは4.49(P0.001)と有意に相関を認めた。IgA腎症の患者の扁桃に特異的な細菌は、扁桃摘出+ステロイドパルス療法の治療効果との相関を認めた。
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