研究概要 |
一般住民を対象として血清シスタチンC値(sCysC)と動脈硬化性疾患との関係を検討した成績は未だ少ない。本研究では、2002年に福岡県久山町における循環器病健診を受診した40歳以上の久山町住民3,328人を対象とした疫学調査の成績を用いて、sCysCと動脈硬化性疾患との関連を検討した。まず、sCysCと末梢動脈疾患(PAD、足関節上腕血圧比<0.9)との関連を検討した。その結果、sCysCの上昇に伴いPADの有病率(無調整)直線的に増加した。しかし、多変量解析では、sCysCとPADの間に有意な関連を認めなかった。続いて、同対象者を平均7.1年追跡した調査の成績を用いて、sCysCと心血管病発症の関係を検討した。sCysCの上昇に伴い心血管病の発症率(無調整)は有意に上昇したが、この関係は多変量調整後に消失した。最後に、上記追跡調査において日本人用のsCysCにより推定された糸球体濾過値(eGFR-CysC)と心血管病発症の関係を検討したところ、多変量調整後もeGFR-CysCの低下は、心血管病発症や死亡の危険因子であった。
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