浦添市医師会では全会員を対象に年に2回、CKD啓発講演会を開催し、日本腎臓学会の診療ガイドの普及に努めている。市内の「かかりつけ医、非腎臓専門医」で管理しているCKD患者の予後調査である「腎疾患重症化予防のための戦略研究」にも医師会単位で参加している。保存期CKD患者の登録データベースを市内の腎臓病専門施設である徳山クリニック(N=3141)、睡眠障害患者を中心に診療している名嘉村クリニック(ポリソムノグラフィ施行患者、N=4000)および浦添総合病院健診センターの3施設の協力を得て作成している。現在、これら登録患者の予後(生死、透析導入の有無)を調査中である。健診センターでは年間約2万人の浦添市民の受診者があり、約半数では尿アルブミン・クレアチニン比(ACR)を測定している。現在、予後調査を実施した。 浦添市は人口約11万人であり、毎年30人前後の透析導入患者が発生していると考えられる。各コホートについてデータの整備(重複、必須項目の有無など)を進めて統合する予定である。透析導入に至る経過を種々のコホートと突合することにより検討する予定である。2010年度末までの過去40年間のコホートを作成し整備を行っている。また2008年度の特定健診受診者についても国保連合会、協会けんぽ沖縄支部の協力がえられており、多面的な解析が可能となると期待される。厚生科研(難治性疾患等克服研究事業(腎疾患対策研究事業)の分担研究者として「死亡個票を用いた特定健康診査受診者の慢性腎臓病(CKD)関連死亡リスク評価研究」にも着手した。 さらに沖縄県全体の健診受診者と透析導入患者を突合した論文はKDIGOのCKD再分類およびメタ解析のコホートとして採用され、多くの論文がすでに発刊されている。引き続き透析導入の予測因子の解析を行っている。日本腎臓学会編の「CKD診療ガイド2012」にも多く引用されている。
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