研究課題
これまでの研究で我々は、アルドステロン誘発高血圧や糖尿病性腎症における腎線維化にオステオポンチン(OPN)が重要な役割を演ずることを報告してきた。またこれまでの他施設で報告されたInterleukin (IL)-18の作用はOPNのそれと極めて類似していた。このことから、我々は、IL-18の作用の一部はOPNの作用を介している可能性を考えた。そこで本研究では、IL-18欠損(KO)マウスを用いて、IL-18の腎症における役割、IL-18とOPNの相互作用を検討した。IL-18KOおよび野生型(WT)マウスに対して、片腎摘出を行い、1%食塩負荷、腹腔より0.15μg/hourのアルドステロン(ALD)の投与を4週間行った。その結果、血清クレアチニンおよび尿中アルブミン量にWT群とIL-18KO群で差を認めなかったが、血圧に関しては、ALD処置によってWT群で上昇したが、KO群では有意な上昇を認めなかった。ALD投与によって、WTおよびIL-18KOマウスともに糸球体の腫大、メサンギウム基質の拡大が認められたが、ALDによる腎線維化はWTに比較して、IL-18KOでは著明に抑制されていた。ALD投与によってWTマウスでは尿細管にIL-18の発現が著明に誘導された。一方、ALD投与によって、WTマウスでは尿細管にOPNの発現が誘導されたのに対して、IL-18KOマウスではOPNの発現誘導は認められなかった。in vitroの研究で、腎尿細管細胞であるNRK-52EにALDを添加することによって、IL-18の遺伝子は時間および用量依存性に増加した。また、ALD拮抗薬であるスピロノラクトンの投与でIL-18の増加は完全に抑制された。これらの結果からALDは、腎尿細管細胞に作用しIL-18誘導し、オステオポンチン介して腎線維化、腎障害を惹起することが考えられた。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Nephron Extra
巻: 2 ページ: 87-103
DOI: 10.1159/000337330