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2012 年度 実績報告書

臨床応用を考慮したRNA干渉法による副甲状腺ホルモン産生制御法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 22590916
研究機関東海大学

研究代表者

田中 礼佳  東海大学, 医学部, 講師 (10372947)

研究分担者 金井 厳太  東海大学, 医学部, 助教 (00535221)
澤田 佳一郎  東海大学, 医学部, 講師 (10420952)
角田 隆俊  東海大学, 医学部, 准教授 (50276854)
研究期間 (年度) 2010-10-20 – 2014-03-31
キーワード二次性副甲状腺機能亢進症 / RNA干渉
研究概要

二次性副甲状腺機能亢進症に対する臨床応用可能な遺伝子治療法として、副甲状腺ホルモン(PTH)またその産生分泌にかかわる因子の遺伝子発現を、これらに対するマイクロRNA(miRNA)を個体に導入することでRNA干渉により抑制するとともに、外部からmiRNAの発現を調節することによりPTHの分泌量を適切な範囲に制御することが可能なシステムを開発しようとしている。
昨年度は、ヒトPTH遺伝子を導入した株細胞をヌードマウスへ導入してヌードマウスの血中へヒトPTHを分泌させる系を開発した。この系においてヒトPTH遺伝子はテトラサイクリン誘導プロモーターの下流にあり、テトラサイクリンの誘導体であるドキシサイクリンを食餌、飲料を通じて投与することでヒトPTH遺伝子の発現を誘導することができ、逆にドキシサイクリンの投与を停止することでその発現を抑制することが可能である。実際に、この遺伝子を分泌性のHEK293株細胞と非分泌性のHela株細胞に導入しヌードマウスへ移植したところ、ドキシサイクリンの投与により血中にヒトPTHの分泌が確認された。分泌性のHEK293株細胞を移植したものでは誘導開始後1週間以内にヒトPTHの分泌の増加が確認され、その後も急激な血中濃度の上昇が見られたが、2週間の誘導の後ドキシサイクリンの投与を停止することで血中ヒトPTH濃度が減少し、最終的には有意な検出限界以下になることが確認された。また非分泌性Hela株細胞の移植では血中ヒトPTHの濃度の増加は緩慢であったが、ドキシサイクリン投与による血中PTH濃度の制御はこちらの方が容易と思われた。
一方、PTHに対するmiRNAに関しては数種類の異なる塩基配列のmiRNAをテトラサイクリン誘導プロモータの下流へ繋いだ発現ベクターを開発しており、現在、in vitroで有効な配列の選別を行っている。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

昨年度の計画として①in vivoでの誘導が可能なPTH発現系の開発、②標的mRNAに対するmiRNAの発現調節系の開発、③miRNA分泌によるPTH発現抑制の可能性の検討、を設定した。
①については、テトラサイクリン誘導プロモータ下流にヒトPTH遺伝子を繋ぎ、これを株細胞へ導入したものをヌードマウスに移植して、マウスへのテトラサイクリン誘導体の投与により血中へのヒトPTHの分泌を誘導する系を開発した。これにより当初の目標は達成された。
②については、テトラサイクリン誘導プロモーター下流に、PTH mRNAに対するいくつかのmiRNA配列を繋いだコンストラクトを作製し、現在、有効な配列の選別をin vitroで行っているところである。当初の目標の達成に近づいている。
③については、先にエクソソーム分泌性細胞の選定と改良を行うことが必要であるとの判断から延期した。
これらより、全体としてやや遅れていると判断する。

今後の研究の推進方策

昨年度開発されたテトラサイクリン誘導体投与により血中にヒトPTHを分泌するヌードマウスは株細胞を移植しているため、細胞の増殖に伴って誘導されるヒトPTHの分泌量が次第に増えていく傾向がある。また腫瘍形成による個体の衰弱も見られ、長期間に亘る利用は困難であると考えられる。この点を改良するために、導入細胞を非増殖化して移植する、非増殖細胞への遺伝子導入と移植、あるいは個体臓器への直接の遺伝子導入を検討し、安定したヒトPTH分泌が可能なPTH過剰分泌のモデル動物を作製する。このモデル動物に対し、有効性が確認されたmiRNA発現ベクターを導入した細胞を移植して発現を誘導し、その効果を確認する予定である。
同時にmiRNAを内包するエクソソームを分泌させるための細胞の選定と、必要ならば遺伝子改変による分泌機能の増進を行うことで、実用的なRNA干渉による遺伝子治療システムの開発を進める予定である。

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公開日: 2014-07-24  

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