2型糖尿病モデルのdb/dbマウス、脳卒中易発症性高血圧自然発症ラット(SHR-SP)、およびそれぞれのコントロールについて、Poldip2の腎内発現局在を特異抗体を用いた免疫組織化学法にて検討した。その結果、Poldip2は糸球体(メサンジウム細胞および上皮細胞)や尿細管上皮細胞に発現していることが明らかとなった。尿細管セグメントごとにマーカーとなる蛋白との共在を確認したところ、アクアポリン2陽性細胞に豊富な発現があり、このことにより皮質および髄質集合管においてPoldip2が強く発現していることが確認された。さらに、db/dbマウスでは週齢が進むにつれてその腎内での発現が低下していた。一方、SHR-SPの腎においては、Poldip2発現は週齢とともに増加していた。以上の結果により、Poldip2の腎内発現局在が明らかとなり、またこれが糖尿病性腎症や高血圧性腎障害の病態に関与している可能性が示唆された。 次に、Poldip2の発現調節機構を明らかとする目的で、マウス皮質集合管上皮細胞から樹立されたM-1細胞を培養し、各種刺激に対するPoldip2発現の変化をウェスタンブロット法にて検討した。その結果、M-1細胞をTGF-βで刺激すると、Poldip2蛋白発現が亢進することが明らかとなった。これにより、上記疾患モデルで認められたin vivoでの発現調節機構の一部にTGF-βが関与している可能性が示唆された。
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