我々はこれまでに、免疫組織化学法を用いて、poldip2がメサンジウム細胞、糸球体上皮細胞および遠位尿細管上皮細胞に発現していることを明らかとしてきた。さらに、2型糖尿病モデルのdb/dbマウスでは週齢が進むにつれてその腎内での発現が低下していることを見出した。さらにpoldip2の発現調節機構を明らかとする目的で、マウス皮質集合管上皮細胞から樹立されたM-1細胞を用い、TGF-β刺激によりpoldip2蛋白発現が亢進することも明らかとした。 腎臓構成細胞におけるpoldip2発現調節機構についてさらに検討するため、培養メサンジウム細胞を用い、過酸化水素、Tunicamycin、TNFα、TGF-βなどのストレス負荷に対するPoldip2蛋白発現を評価した。その結果、過酸化水素による刺激ではpoldip2mRNAおよび蛋白発現量は減少し、一方ではTunicamycin、TGF-βによる刺激ではpoldip2mRNAvivoでの発現調節機構の一部に酸化ストレス、小胞体ストレスあるいはTGF-βが関与している可能性が示唆された。さらに、poldip2に対するsiRNAを用いて、細胞内Poldip2発現量を約50%低下させた細胞においては、TGF-β負荷後のcollagen1発現量が約25%有意に低下していた。このことから、poldip2はTGF-βによるollagen1発現誘導において、酸化ストレス依存性に関与している可能性が示唆された。
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