研究課題/領域番号 |
22590930
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
河本 恭裕 京都大学, 医学研究科, 非常勤講師 (40335253)
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研究分担者 |
高橋 良輔 京都大学, 医学研究科, 教授 (90216771)
伊東 秀文 京都大学, 医学研究科, 講師 (20250061)
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キーワード | Omi/HtrA2 / パーキンソン病 / ミトコンドリア / アポトーシス / α-synuclein / parkin |
研究概要 |
パーキンソン病(PD)の13番目の原因遺伝子(PARK13)であるOmi/HtrA2は、ミトコンドリア膜間腔に存在するセリンプロテアーゼであり、アポトーシス刺激によりミトコンドリアから放出されると、アポトーシス阻害蛋白質の機能を抑制し、細胞のプログラム死を促進する作用を有している。すでに我々は、Om/HtrA2に特異的な抗血清を用いた免疫組織化学的解析にて、PDとLewy小体型認知症(DLB)患者脳内のLewy小体における強いOmi/HtrA2免疫活性の存在を確認しているが、筋萎縮性側索硬化症(ALS)とアルツハイマー病(AD)に関しても、患者剖検脳を用いて同様の手法で解析した。孤発性ALS患者脳内のround hyaline inclusionsとskein-like inclusionsおよび家族性ALS患者脳内のLewy body-1ike hyaline inclusionsとconglomerate inclusionsが強く染色された。AD患者脳内においても、Aβ陽性の老人斑や血管壁およびリン酸化タウ陽性の神経原線維変化の一部に強いOmi/HtrA2免疫活性の存在が観察された。以上より、Omi/HtrA2が様々な神経変性疾患の患者脳内における異常構造物に集積していることが明らかとなった。Omi/HtrA2小体の主要構成成分であるα-synucleinとの関係を明らかにするために、A53T変異型α-synuclein過剰発現マウス脳内におけるOmi/HtrA2の継時的変化を免疫組織化学的および生化学的に検討している。Omi/HtrA2がparkinのユビキチンリガーゼ活性を不可逆的に阻害し、異常蛋白質の蓄積を促進している可能性もあり、PD患者剖検脳を用いて、両者の局在の相違を免疫組織化学的に解析し、parkinノックアウトマウス脳内におけるOmi/HtrA2の変化を免疫組織化学的および生化学的に検討している。さらに、Omi/HtrA2の標的蛋白質であるXIAPにも注目し、PDとDLBの患者脳内における局在を解析している。その結果、脳幹型と皮質型Lewy小体におけるXIAPの免疫染色パターンがOmi/HtrA2の免疫染色パターンと類似していることを見出し、蛍光二重標識法にて両者が脳幹型および皮質型lewy小体において共存していることを確認した。
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