研究課題
我々は、Om/HtrA2が、パーキンソン病 (PD) 患者脳内のLewy小体に存在することをすでに報告している。次にOmi/HtrA2の標的蛋白質であるXIAPに注目し、PD患者脳内におけるXIAPの局在を免疫組織化学的に解析し、Lewy小体おいてOmi/HtrA2とXIAPが共存していることを確認した。XIAPがOmi/HtrA2とともにLewy小体に取り込まれることにより、XIAPの抗アポトーシス作用が抑制されているという仮説を立てた。この仮説を立証するために、cytochrome c、Apaf-1、caspase-9に対する各種抗体を用いて、PD患者脳内のカスパーゼ依存性アポトーシスの変化を免疫組織化学的に検討した。抗cytochrome c抗体、抗Apaf-1抗体、抗pro-caspase-9抗体でPD患者の中脳黒質のLewy小体が強く染色された。Apaf-1とpro-caspase-9の免疫活性は主としてhaloに、cytochrome cの免疫活性は主としてcoreあるいはその周辺部に観察された。2種類の抗体を用いて、cleaved caspase-9免疫反応もLewy小体に存在することを確認した。活性化されたcaspase-9は、下流のエフェクターであるcaspase-3やcaspase-7を活性化し、アポトーシスを促進することが知られている。PD病患者の中脳黒質では、イニシエーターであるcaspase-9が活性化され、ドパミン作動性ニューロンの細胞死に関与している可能性がある。A53T変異型α-synucleinトランスジェニックマウスやparkinノックアウトマウスの脳内におけるOmi/HtrA2の変化に関しては、今のところ有意な変化は確認できていないが、さらに研究を継続していく予定である。
24年度が最終年度であるため、記入しない。
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Clinical Neuropathology (in press)
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