研究課題
多発性硬化症(MS)は、これまで中枢神経内のオリゴデンドロサイトを抗原特異的T細胞が障害する自己免疫性脱髄疾患と考えられてきたが近年、より多様な病態をもった症候群であると考えられている。抗アクアポリン4(AQP4)抗体の発見以降、NMOはMSとは異なり、オリゴデンドロサイトではなくアストロサイト障害を主体とした病態であることがわかってきた。申請者は、これまで抗AQP4抗体が補体依存性にアストロサイト細胞死を誘導することや、動物へのパッシブトランスファーによって、その病原性を示してきた。さらに最近はMSにおいてもアストロサイトの病態への関与が注目されつつある。本研究ではアストロサイト特異的トレーサー(^<11>C-酢酸)を利用し、positron emission tomography(PET)にてMSおよびNMO患者におけるアストロサイトの機能障害を生体内にて画像化することを目的としている。これまでの約2年間にMS患者さん6名、NMO患者さん2名の同意と協力をいただき酢酸PET/MRIの検査を遂行できた。客観的な評価をするために健常者群でのデータ収集が必要であり、現在健常者コントロールの募集と検査を遂行中である。また超分解能小動物用PET/MRIを利用した動物モデルでの解析は動物用サイクロトロンの設置に時間がかったが、H24年2月より稼働を開始した。まず正常およびEAEマウス、ラットで、合成の容易なFDGを利用し検査を開始したところである。今春より^<11>C-酢酸PET/MRIを施行予定である。
2: おおむね順調に進展している
H24年2月よりようやく動物用PET/CT装置が稼働しはじめ、現在動物を使った予備実験中である。多発性硬化症患者さんの酢酸PETは終了しているが、健常者コントロールが必要であり、募集しながら検査を施行しているところである。
健常者での酢酸PET/MRIを施行し、これまでのMSおよびNMO群でのデータと比較検討する。そのうえで新たな検査法として普及するようまず論文化をはかる。ヒトでは画像の病理学的検証が不可能なため、動物モデルでの検証を行う。
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