研究課題/領域番号 |
22590940
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
阿部 陽一郎 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (10317331)
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研究分担者 |
池島 宏子 慶應義塾大学, 医学部, 特任講師 (60265783)
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キーワード | 脳神経疾患 / 免疫学 / 動物モデル / アストロサイト / アクアポリン / 視神経脊髄炎 / 多発性硬化症 |
研究概要 |
従来多発性硬化症(MS)の一亜型であると考えられてきた視神経脊髄炎(NMO)は、患者血清中に特異的に存在する自己抗体(NMO抗体)の標的がアクアポリン4(AQP4)であることが明らかになって以来、MSとは異なる疾患であると理解されるようになってきた。本研究では以下の2通りの方法で、MSモデルとは一線を画したNMOモデルマウスを確立し、これを解析することでNMOの発症機序の解明、更には治療法の開発を目指している。 【I】AQP4完全ノックアウトマウスを用いたNMOモデル NMO-IgGがAQP4に結合することが、NMO発症のきっかけになるのかどうかを検討するため、NMO-IgG様の性質を有するモノクローナル抗AQP4細胞外ドメイン抗体の作製を試みた。前年度にマウスAQP4の細胞外ドメインを認識する抗体を2クローン得たが、いずれもマウスAQP4に対して親和性が低かったため、より高親和性の抗体を得るため、バキュロウイルスディスプレイ法によりAQP4 KOマウスに免疫し、現在概ね4種類に分類できる9クローン得た。 【II】AQP4-M1アイソフォーム特異的ノックアウトマウスを用いたNMOモデル 先天的にはnullであるが、後天的にAQP4を誘導できるマウスを作製するため、MerCreMerをアストロサイトで特異的に発現するトランスジェニックマウスの作製に着手した。これまで二度のインジェクションを行い、それぞれ77匹、及び22匹のファウンダーマウスを得たが、確実にトランスジーンを持っていると思われる個体が得られなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
【I】のモデルについては、バキュロウイルスディスプレイ法を用いるために、AQP4 KOマウスとウィルス由来の膜タンパク質であるgp64トランスジェニックマウスを交配させる必要があり、免疫開始までにかなりの時間を要したためである。 【II】のモデルについては、Cre-ERT2の使用許可がなかなか得られず、同様の機能を持つ別の遺伝子MerCreMerに変更せざるを得なくなったこと、さらにこのトランスジェニックマウスが作出できないという困難に直面したことが理由である。
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今後の研究の推進方策 |
【I】のモデルについては、抗体が得られているので今後は計画にそって進めていくことができる。 【II】のモデルについては、アストロサイトでの特異的なMerCreMerの発現を断念し、全身で発現するマウスに変更することを検討する。全身でCre-ERT2を発現するマウスはJackson研究所から購入可能である。
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