難治性の脊髄損傷性疾患であるHTLV-1関連脊髄症(HAM)において、脊髄再生治療の開発研究を推進するために、体性幹細胞に対するHTLV-1の感染性と、体性幹細胞の有効性を検証するためのモデル動物の作成を試みた。GFP標識したHTLV-1感染ラット由来の脂肪組織由来体性幹細胞(ASC)の移植実験では、HTLV-1の感染拡大は認められなかった。ヒト由来のASCでは、invitroでのHTLV-1感染が確認され、ASCへもHTLV-1が感染する可能性が示唆された。HTLV-1感染ラットを用いた早期発症HAMモデル動物の作成に関しては、反復感染による発症促進効果は認められなかった。そこでHAM脊髄病態の解析を進め、脊髄組織でのアストロサイトからのケモカインCXCL10の過剰産生が重要であることを示し、モデル動物作成の方向性を明らかにした。
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