家族性パーキンソン病であるPerry症候群は常染色体優性遺伝でパーキンソニズム,うつ,体重減少,低換気をきたす予後不良の疾患である、2009年にダイナクチン遺伝子内に変異が発見され、さらに病理学的にTDP-43蛋白の凝集がみられ、従来のLewy小体パーキンソン病とは異なる病態のパーキンソン病であることが判明した。本研究は、Perry症候群の本邦における疫学及び発症家系の臨床・遺伝的関連を明らかにするため、新規家系の探索活動を国内外で継続してきた。その結果、本邦を含む世界で、新たな家系が発見されており、徐々にその頻度が明らかになっているが、まだ認識の浅い疾患であることは問題である。本邦には4家系存在し、その臨床病理学的特徴を検討した。今回解析したOMT家系は孤発性パーキンソン病と臨床上区別できない症例も存在した。睡眠ポリグラフ検査では、全例に睡眠時の不規則呼吸や呼吸停止がみられ、診断基準における大切な検査と考えられた。診断基準案を作成し現在権威ある学術誌に投稿中で、今後早期診断と治療指針の確立を目指したい。 基礎的研究ではダイナクチン遺伝子内変異の遺伝子導入細胞で新たな知見を得た。Hela細胞を使用したモデルで、凝集体の確認、アポトーシスの誘導、細胞内小器官の偏在等の変化が確認されている。現在導入細胞の継代培養を作成し、細胞死メカニズムとその抑止因子の検討を行い、将来の創薬につながる基礎としたい。
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