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2011 年度 実績報告書

「メタボリックシンドローム」と認知症の関連の解明:認知症モデルマウスを用いた研究

研究課題

研究課題/領域番号 22590948
研究種目

基盤研究(C)

応募区分一般
研究機関独立行政法人国立病院機構千葉東病院

研究代表者

吉山 容正  独立行政法人国立病院機構千葉東病院, 臨床研究センター, 神経変性疾患研究室長 (50292701)

キーワード生活習慣病 / 糖尿病 / 肥満 / 運動 / 神経変性 / タウ
研究概要

近年、認知症と生活習慣との関連に注目が集まっている。特にその中でも糖尿病を含めたいわゆる生活習慣病との関連がもっとも注目されている。われわれが開発した認知症モデルであるPS19マウス(P301S変異タウ遺伝子導入タウオパチーモデルマウス)に高カロリーえさを投与することで、神経変性にとのような影響を与えるか、またこのマウスに運動を行わせる影響について検討してきた。高カロリーえさ投与により神経変性が増強することが確認された。また運動によりその増強効果が消失することが判明した。興味深いことに、運動により体重は優位には減少しなかったにもかかわらず、糖代謝の改善、レプチンな著明な減少が認められた。糖尿病などの生活習慣病の病態として持続性の炎症状態があることが指摘されている。またアルツハイマー病を含めた神経変性疾患において、炎症的な機序が重要な役割を演じていることが指摘されており、生活習慣病による炎症の増強が神経変性を増強する可能性が考えられる。そこで、脳内の炎症を評価するためにマイクログリアを染色したところ、高カロリー摂取群でマイクログリアの活性化が亢進しており、また運動によりそれが抑制されていた。本年度の研究で特に重要な発見は、高カロリー摂取を行っていたPS19マウスにおいてマイクログリアのみならずアストロサイトの活性化も生じており、さらに興味深いことにこのアストロサイトにレプチンレセプターが高発現していたことである。高カロリー摂取により、神経系に関してはレプチン耐性が生じていると考えられる。この神経系に生じるレプチン耐性はレプチン受容体のうちレプチン受容体bで、一方アストロサイトには受容体aが高発現していた。レプチン耐性による高レプチンがアストロサイトのレプチン受容体aを介して神経変性に関与している可能性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

すでに当初目標としていた「1.高カロリー摂取により、タウ病理、神経変性が増強することを明らかにする。2.上記をふまえ高カロリー摂取による代謝面の変化(体重、糖、脂質など)と認知機能、病理的変化の関連を解明する。3.運動が上記の変化を予防しうるかを検討する。4.炎症性変化に注目し、各種炎症性サイトカインの変化、脳内のグリア細胞の変化を明らかにする。5.肥満に関し、重要な役割を演じているレプチン、アディポネクチンなど肥満関連サイトカインをグリア細胞あるいは神経細胞へ投与し、炎症機序の誘発を生じるかを検討し明らかにする。」を達成し、現在その詳細な機序に関する検討を行っている。

今後の研究の推進方策

本年度は、アストロサイトのレプチンに対する反応を中心に解明し、培養細胞系を用いて、レプチン添加によるアストロサイトの反応を検討する。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2012 2011

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] Anticholinergics boost the pathological process of neurodegenerat ion with increased inflammation in a tauopathy mouse model2012

    • 著者名/発表者名
      Yoshiyama Y, Kojima A, Itoh K, Uchiyama T, Arai K
    • 雑誌名

      Neurobiol Dis

      巻: 45 ページ: 329-36

    • DOI

      10.1016/j.nbd.2011.08.017

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Markedly reduced axonal potassium channel expression in human sporadic amyotrophic lateral sclerosis : an immunohistochemical study2011

    • 著者名/発表者名
      Shibuya K, Misawa S, Arai K, Nakata M, Kanai K, Yoshiyama Y
    • 雑誌名

      Exp Neurol

      巻: 232 ページ: 149-53

    • DOI

      10.1016/j.expneurol.2011.08.015

    • 査読あり
  • [雑誌論文] 知症研究に用いられる動物・細胞実験モデル各論遺伝子改変モデルP301L(S2011

    • 著者名/発表者名
      吉山容正
    • 雑誌名

      日本臨床

      巻: 69 ページ: 262-266

  • [学会発表] 抗コリン薬は認知症の神経変性を増強するか:モデルマウスを用いた検討:P301S変異タウ遺伝子導入マウスを用いた 生化学的・病理学的検討2011

    • 著者名/発表者名
      吉山容正
    • 学会等名
      第26回老年精神医学会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2011-06-16

URL: 

公開日: 2013-06-26  

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