研究課題/領域番号 |
22590953
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
朝比奈 正人 千葉大学, 医学部附属病院, 講師 (40301098)
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キーワード | 胃電図 / パーキンソン病 / 自律神経系 / MIBGシンチグラフィ / 嗅覚 |
研究概要 |
胃電図は胃壁在神経叢の病変を非侵襲的に評価できる検査法であり、過去の我々の研究からパーキンソン病(PD)で異常がみられることが明らかにされた.Braakらの病理学的検討は、PDの運動症状の発現より早く、胃壁在神経叢にLewy小体病理が出現する可能性を示唆した.胃電図によりPD患者の壁在神経叢の異常を電気生理学的に検出できれば、PDの発病前診断が可能となる.平成22-23年度に、British Brain Bankの基準を満たしている未治療PD26例(平均年齢67±9歳)と年齢を一致させた健常対照5例(平均年齢66±5歳)にてポータブル型胃電計(胃電計EG、ニプロ社)を用いて食事前後で胃電図を記録した.データを周波数解析した結果、主要周波数はPD群で2.86±0.26/分、健常対照群でで2.79±0/03/分と差を認めなかったが、主要周波数の変動係数はPD群で14.3±7.3%、健常対照群で8.3±1.7%とPD群で高値であった.さらに、PD患者において心筋MIBGシンチグラフィー、心循環系自律神経機能検査(心電図R-R変動、head-up tilt試験)および嗅覚検査を行ったところ、MIBGシンチグラフィにおける心縦隔比の後期像は2.06±0.97と低下していたが、心電図R-R変動係数は2.56±2.26%と低下はみられず、head-uptilt試験でも起立性低血圧を呈したのは3症例のみであった.嗅覚検査では12個の嗅覚検査に対する正答数が4.8±3.3個と低下していた.胃電図における主要周波数および主要周波数変動係数とMIBGの心筋集積、心電図R-R変動、head-uptilt試験、嗅覚検査結果の間には有意な相関関係は認められなかった.今年度の我々の研究結果は、初期PDの胃壁在神経叢病変を胃電図により検出できる可能性を示唆した.また、PDの胃電図の異常は初期診断に有用とされる嗅覚障害やMIBG心筋集積低下と必ずしも相関しない可能性がある.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
パーキンソン病患者は目的の症例数に達したが、健常対照群の症例数は現時点で5例と目標に達していない.
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今後の研究の推進方策 |
既に症例数に達したパーキンソン病患者のデータ解析を行うとともに、健常対照の症例を追加し、2群の比較を行う.結果を平成25年度中に国内学会および国際学会(ヨーロッパ神経学会およびヨーロッパ自律神経学会共同開催)に報告し、英文雑誌に投稿する予定である.
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